赤い電車のあなたへ
わたしは岩と瓦礫を一生懸命に除ける。手のひらが傷ついたり擦りむいても、血が滲んだ肌を土で汚し夢中で作業する。
「龍太さん、 龍太さん!」
わたしはべそをかきながら龍太さんを呼ぶけど、やっぱり彼はピクリとも動かないし返事もない。
石と瓦礫を除けきっても彼は気がつかず、わたしは途方に暮れた。
意識がないということは、頭でも打ったのかな?
頭を見た方がいい? それとも揺すって声をかけ続けた方がいいのか。それとも、一刻も早く助けを呼びに行くべきなのか。
わたしはどういった判断を取ればいいのか分からず、半ばパニックに陥る。
どうしよう。どうすればいい?
アウトドアの経験は皆無だから、ケガや救護の知識もなく。ましてやいざという時の対処法は全く分からず。
本当に、わたしのせいだ! わたしが少しでも長く一緒にいたいなんてわがままを思ったから。
ボロボロと流れた涙で龍太さんの姿がぼやけるけど、泣いてる暇はないとシャツの袖で拭い気付いた。
このままじゃ龍太さんは寒いだろうし、と脱いで彼の体にかける。
自分がついさっきまで着ていたものを彼に触れさせるのにドキドキした。
けど、今はそれどころじゃない。
わたしは鼻をすすりながら、龍太さんの体に異常がないか見てみた。