赤い電車のあなたへ



わたしがタンスから出したのは、去年朝露に着てきたワンピース。白い綿生地に水色のチェックがかわいくてお気に入りだった。


でも、高校生が着るにはもう子どもっぽいような。そう感じてそれを傍らの机に置いた。


赤いシャツとGパン。ピンク色の縁取りブラウス。黄色いロングスカート。


どれもこれも子どもっぽい。


高校生なら少しは大人らしくなりたい、と密かに考えていたわたしは困り果てた。

わたしがもといた地元なら、24時間開いてるショッピングセンターとかあったのにな。


今の時間を見ると、7時か。


健太叔父さんの家は叔父さんと夏樹しかいないし、服を借りようにも無理だ。


仕方ない。とわたしはパジャマ代わりのTシャツと綿のズボンを着て階下に降りた。


目指すは玄関にある電話。
ほたるに理由を話して服を貸してもらおうか、と思って。


朝早い親友だから今はすっかり起きてるはず。


玄関で電話帳を開いて調べてるさなか、いきなりドアが開いてびっくりした。


< 29 / 314 >

この作品をシェア

pagetop