赤い電車のあなたへ

わたしは結局白地に水色チェックのワンピースを選んだ。


でも、それだと地味かなと思い、綿の白いカーディガンを羽織ってみる。


あとは、お母さんがくれたアクアマリンのネックレス。大人になるならアクセサリーのひとつは持ちなさい、と持たせてくれた。


お母さんがわたしを女性と認めてくれた。その事実が嬉しい。


――本気で恋い焦がれるなら、やるだけやって当たって砕けておいで――


お母さんの至言に励まされ、荷物のなかに忍ばせてあったピンク色のリップも手に取った。


鏡に向かって自分の顔を映し、ため息を着く。


やだなあ……地味すぎる顔だち。痩せすぎだし、目は細くてひとえだし。鼻は低いし唇だけは厚い。


そばかすも治らないかなあ……。


自分の体に目を落とせば、ガリガリに痩せすぎでずん胴だし。女の子らしい丸みが全然ないよ。


こんなんであの人にちゃんと興味を持って貰えるのかなあ？


特に胸元を見たわたしは、致命的かもしれないと泣きたくなる。近ごろの小学生の方が発育がいいよね、きっと。


そんなわたしがピンクのリップなんかしても、背伸びしすぎて不格好だよね。


わたしはそれを引き出しにしまい、ネックレスだけ着けて部屋を出た。