赤い電車のあなたへ






「流星峡から龍ヶ淵に続く地層では、一説に白亜紀の特にアルビアン期の地質で、小型恐竜なんかの化石が発掘されるらしいんだ」


流星峡の駅に降り立った時、立野先輩がそう説明してくれた。


え、とわたしは意外な話に胸を躍らせる。
むかしから化石とか恐竜なんかの話は大好きなんだ。


「え! もしかしたら発掘現場とか見られますか!?」


アンモナイトや三葉虫なんかのよくある化石でもいいから、一度はその作業を見たいと思ってたんだ。


ついさっきまで沈んでたのに、本当にわたしって単純。


はしゃぐわたしを見た夏樹は、苦笑いをしてわたしの額をつついてきた。


「こら、おまえは本当にそっちが好きだな。女の子なら土くれに興味は持たないもんだぞ」


「え~? そんなの関係ないじゃん!
だいたい好き嫌いにいちいち性別で区別付けるの? 差別だよ! 断固反対~!」


わたしは額に手を当てて唇を尖らせると、夏樹はわたしの唇を摘んで引っ張るし!


「ひてててっ! なにすんほ!!」


涙目で抗議すれば、夏樹はニヤニヤ笑って「鞠アヒルだ!」なんてからかうし!


最低~!



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