赤い電車のあなたへ
朝露の駅から出発して45分後、化石が産出するという流星峡の駅に降り立った。
「小さいけど展示館もあるんだよ。今まで発掘できた化石のレプリカとか骨格標本とかがある」
立野先輩の話で、わたしはすっかり太古の世界に思いを馳せていた。
あの人はもしかしたら、発掘作業をする人だったのかも。
なら、もっとステキだわ。わたしと話が合いそうだから。
流星峡で一緒に発掘作業に携わりなから、2人で古代の地球にタイムスリップするの。
カンブリア期の生物爆発や白亜紀や古生代。何十メートルという生物が地上を闊歩していた不思議。
想像すればするほど楽しい。
生命はどこから来てどこへゆくのか。
宇宙に終わりがあるとしたら、その後は。
宇宙が広がっているとしたら、果てはどうなるか。
お父さんが遺した膨大な科学や天文学関係の蔵書を絵本代わりに読んで育ったから、わたしはそういった事柄に興味を持つ。
夏樹の言うとおりに、女の子ならこれよりおしゃれやファッションに目が行くんだろうけど。
でも、これがわたし。わたしはわたしだもん。