赤い電車のあなたへ






流星峡の案内板の前で、わたし達は予定を決めた。


朝露川の支流である星間川(ほしまがわ)の流れでできた流星峡は、割となだらかな土地。
とは言うものの、駅からは距離が開いてるからバスを使わないとキツいのだけど。


「バス代は片道250円か……どうする?」


夏樹に訊かれてわたしは考えるまでもない。


往復で500円は決して安くない。展示館は入場料が無料らしいけど、毎週電車に乗らなきゃいけない身としては、なるべくお金は遣いたくない。


月に5000円のお小遣いじゃ、電車代だけでもかなりの痛手だ。お昼だって安くあげようとおにぎりを作ってきたんだし。


とはいってもそれはわたしの都合だから、みんなに希望を訊ねてみた。


「わたしは歩いてくけど、みんなはバス使うの?」


わたし1人でも歩くかと考えていたけど、ほたるはバッと手を挙げてくれた。


「はい、は~い! 鞠が寂しがっちゃいけないから、あたしも付き合いまあす!」


「別に、寂しくなんかならないよ!」


わたしが反論すると、夏樹が混ぜっ返した。


「そう言って。小2ん時みたいに迷子になっても知らんぞ~!」


「え~鞠ちゃんって迷子になった事あるの?」


立野先輩まで加わってわたしの過去の過ちを暴露される前に、わたしはさっさと流星峡への道を歩き出した。



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