赤い電車のあなたへ
「うん、いいよ。バレー部の活動は週1だし。来週は土曜が部活だから、日曜には付き合えるよ」
ほたるの友情に素直に感動したわたしは、思わず彼女に抱きついてた。
「あ、お前たち! なにはしゃいでんだよ」
「というかアブノーマルな世界に足を踏み入れた?」
夏樹と立野先輩が口々に言うから、わたしはあっかんべえをしてみせた。
「ちょっと女同士の話をしてたんです。内容はヒミツですけど」
ほたるのからかう声に乗じて、わたしも2人に言ってあげた。
「モテないからってひがまない、ひがまない!」
「こら! 人が気にすることを言うなっ。傷つくだろが」
夏樹が憤慨したか、勢いよく傾斜を駆け上ってきた。
「夏樹が怒った! こわあい!!」
わたしは頭を抱えながら走り、夏樹とすれ違いに下に降りた。
「こら、バカ鞠! 逃げるな」
「きゃあ、怖い。立野先輩! 逃げましょう!!」
わたしは立野先輩の腕を掴むと、勢いよく傾斜を駆け上がった。
「っと、 鞠ちゃん! おわっ!!」
朝露に来てから丈夫になった足腰で、あっという間に夏樹とほたるを追い越した。
「わたしは立野先輩と先に行くね!ほたるをよろしく」
そう言えば夏樹はムリに追ってこない。優しいからほたるのペースで進むはず。
うん、これでいい。とわたしは意気揚々と先に進んだ。