赤い電車のあなたへ



どうもわたしの悪い癖。

生き物がいるとすぐそちらに意識がいってしまう。


家はマンションで生き物が飼えないから、よけい興味を持つんだ。


わたしの年頃だと、虫が嫌いという女の子は多いけど。


ひらひらと風に乗り舞う蝶がどうして気持ち悪いのかな? なんて考える感覚が、一般的な女の子とズレてるのかもしれない。


だから、わたしは……?


「あ、いっけない」


アオスジアゲハが道路脇の雑草に留まって、ちょっと飛んではまた違う草に留まってる。


それを繰り返しているから、まるでわたしをどこかに案内してくれているのかな? なんて思えた。


またこんなこと言ったら、夏樹には空想好きってからかわれるな。


それでも、わたしは構わない。


わたしが朝露に来る、と半分以上決意してるのだから。


わたしは他の女の子とは違うから……。


わたしは街で暮らすと息苦しいから。


ありのままで過ごせるこの朝露がいい。


ここだったら、きっとわたしも自分を偽らず自然体で居られる。

蝶に案内してもらいながら、わたしは駅のそばにある踏み切りに近づいた。


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