赤い電車のあなたへ
おじいさんとの約束で、毎週必ずミルクキャラメルを持っていく。
初めてキャラメルを食べてくれたとき、龍太郎おじいさんは子どもの頃に戻ったみたいで懐かしい、と喜んでくれたから。
6月も末になると流石に梅雨も最盛期で、降り続く雨で空気がジメジメして、湿気で余計に暑く感じる。
打ち出しの雪平鍋でキャラメルのもとになる液を作ってたんだけど、ずっと火を使うからやっぱり暑くて。
顔中体から汗が止めどもなく流れて、首に下げたタオルでこまめに拭いた。
ちょっと遅くなったかも、と時計を見れば、午後9時を回ってる。明日は少し遠い駅に足を延ばすし、始発に乗らないと帰りに龍ヶ縁に寄る時間がなくなっちゃうな。
平たい紙箱に液を流し込んで、あら熱をとるために台所のダイニングテーブルの上で冷ます。
これでよし。後はあら熱がとれた後に冷蔵庫で冷やせばいいわ。
その間にお風呂に入ろうかな、とお湯加減を見るためにお風呂場に向かった。
明日はどんな格好で行こうか、なんて考えるとすこし億劫になる。
毎週の事だから、出来たら違う服を着たいものだけど。現実的にそれは無理な話だもんね。