赤い電車のあなたへ



「やっぱわかんないか~残念!」


ほたるは肩を竦めてわたしに答えを教えてくれた。


「正解は、寝言だって!」


「え? 寝言。わたしが?」


にわかには信じられなくて、わたしは親友に重ねて訊いてみたけど。


「そうだよ」


ほたるはきっぱりと肯定してくれました。


「寝てる最中にぶつぶつ言ってたの?」


「そ。あんたん家壁薄いし、夏樹とあんたの部屋隣同士でしょう?
だから大きな寝言でたびたび起こされたって、夏樹が言ってたよ」


わたしにはショッキングな証言だった。ああ、今すぐ耳を塞ぎたい。


そんなのちっとも知らなかった!


だいたい自分が眠ってる最中に自分が何をしてるかなんて、無意識なんだからわかるはずがない。


就寝中の代表的な迷惑行為は、歯ぎしりとかいびきとか寝相の悪さとか。寝言だって無意識なんだから、何を言ってしまうのやらわからなくて。だから怖い。


いくら普段慎重に慎重を重ねて隠しおおせていても、自分からぺらぺら喋っちゃ意味ないって!


本当にわたしは夏樹に知られるほどいろいろ喋っちゃったの!?



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