帝国湯へ、いらっしゃい
………
「……なあ、」
「?」
「勝負の日なんだけど…タケさんの四十九日にしないか?」
「いいよ」
あと
「場所は男湯の縁側がいい」
「お父さんに聞いておくよ」
「ん、よろしく」
「あたしが、勝つし」
「俺だって、負けないし」
「あたしはタケさんの弟子だし」
「俺だって弟子だし」
「「はは」」
本当は
本当は
勝敗なんてどうでもいいんだ
勝とうが、負けようが、
関係ないんだ
それじゃあ、賭けじゃないんだけどさ
なんていうのかな
自分の中に覚悟を作っておきたかったんだ
「琴」と呼べば
「なあに?」って答えて
ベッドの中でタケさんの話して
たまに
チュッとキスして
「もうっ」
「惚れてるから問題ないんだろ?」
なあ、タケさん見てる?
タケさんが何を賭けたか知らないし
琴の賭けるものも知らないけど
見ててよ
ちゃんと空から見ててよ
俺たちのこと、ちゃんと見ててよね