帝国湯へ、いらっしゃい

――

最近の俺は

暇さえあれば中級編の本を読み

家ではタケさんの将棋盤で頭を抱えて

縁側で琴に鍛えられている



勝負の相手と練習するのもおかしな話なんだが



「龍ちゃん、お父さんオッケーだって」

パチン

「分かった」

パチン



「おい、龍ちゃん何の話だ?」

「勝負の話」


パチン


「ええっするのか!?」

「うん」


パチン


「いつだよ」

「タケさんの四十九日に、ここで」


パチン


「龍ちゃん、嫌がってたじゃないか」

「あれから、色々とあったんだ」


パチン


「色々ってなんだよ?まさかっ!?」


パチン


「子供出来た!?」

「今、頑張ってるところ」


パチン


「ちょ、ちょっと、龍ちゃんてば何を言って…」

「そうか、琴も頑張ってるのかあ」

「龍ちゃん、言い訳してよっ」


パチン


「琴、王手」

「えっ」



「おお、龍ちゃん強くなったなあ」

ふふん


「俺はやれば出来るんだ」

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