帝国湯へ、いらっしゃい
道を歩いていて
気づいたら違う店になっていたこと、あるだろう
いつの間に変わっていたんだろうか
でも、そんなの当たり前だ
自分だって常に変化しているのだから
町だって変化ぐらいするさ
「ちょっと、これ出してきて」
「ん」
感情だって変化する
変わらないモノって何だろうか
そんなモノあるのだろうか
違う
変わらないんじゃない
変えたくないだけ
少し背伸びをして「よっ」と暖簾をかけた
例えば
空とか、海とかが汚れているのは
自分たちのせいだ
変えてるのは自分たちだろ
見方を変えてるだけだ
見方が変われば
変わらない
少し難しいけれど
「龍ちゃん」
「ん?」
「今日の番台代わって」
……………
「昨日も、俺だったんだけど」
「だって、狭いんだもん」
「………デブ」
「仕方ないでしょっ!誰のせいよ」
誰だって年はとる
体力も衰えるだろうし、顔にしわも増えるだろう
肉体も変化し続ける
変化に抵抗できないモノもある
俺の変えたくないモノは
「ま、2人分だもんな…」
「よろしく~」
そうだな……あの頃の気持ちとか?なんて
そんなこと言ったら、タケさん笑うかな
「すみません」
「「いらっしゃい」」
~終~