帝国湯へ、いらっしゃい


大学を卒業して5年が経過した

慣れない満員電車に揺られ
窮屈なスーツに身を包み
必死に仕事を覚えていたあの頃


最近は、社会人としての自覚や自信もついてきて
一人暮らしも板についてきた



だから、少しだけ余裕が出てきたんだ


周りを見る余裕


今まではただ歩いていただけの道
目的地へ辿りつくために通っていただけの道


冬が過ぎて暖かくなった陽気のせいもある



たまには散歩なんていいかな、なんて

思ったのが始まりだったんだ





歩いてみると、改めて驚くことがたくさんある


意外な場所の喫茶店とか

絶対に行き止まりだと思った路地がつながってたりとか

驚きの安さの自動販売機とか

どうやって生計を立てているのか謎の八百屋とか




今度は平日にも歩いてみてもいいかもしれない

今日は空いてない店もあるはずだから

もっと色んな景色が見れるに違いない





街探索なんてバカにしてた節があったけど

とんでもないな

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