帝国湯へ、いらっしゃい


さあ、行こう

ガラと引き戸を開けた


モワっとした湿気のある生暖かい空気


あ…………



なぜだろうか

風呂屋は初めてなのに

この生暖かい空気を嗅いだ時

どことなく懐かしくなり

ああ、風呂屋の匂いだなと思った



「いらっしゃい」

右上におじさんがいた


「え、と1人です」

よく分からないことを言ってしまった


「はい。460円ね」

言われるがままに料金を支払った


奥に進んだら見慣れないものばかり



針で動く体重計

とてもじゃないが家には置けない大きさの鏡

10円で動くマッサージ機


へえ


鏡の向こうから声が聞こえる

「ちゃんと拭きなさい!」と女性の声


おお。感動


テレビで見たことある

きっとこの壁の向こうが女湯なんだ
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