帝国湯へ、いらっしゃい
ーーー
よし、と少しだけ気合いを入れた
「部長」
「お、伊藤どうした?」
「あの、企画の件ですが考えたので目を通してもらってもいいですか?」
書類を渡した
…………うー。緊張する
「いいんじゃないか?」
えっ
「これでいけ」
「修正とかありますか?」
「んー……いいよ。このままで。先に進めて」
「はい」
その足で喫煙所に行った
…………やばい
ちょっと、嬉しい
いやちょっとどころじゃないな、かなり嬉しいかも
嬉しいのと同時に
なぜ、今までは頑張ろうとしなかったのかと少し後悔した
将棋と一緒だった
戦法と一緒だった
やらないから、分からなかった
一生懸命にやらないから、喜びを知らなかった
学校の先生は何かと『一生懸命』という言葉を使う
正直、何を言ってるんだとバカにしてた部分もあった
一生懸命にやっているのに、
一生懸命になれと連呼され“ウザい”とも思っていた
企画は通ったが、頑張らなければならないのはこれからである
でも、頑張れる気がした
……こういうことか