帝国湯へ、いらっしゃい

10時過ぎたら客が待ってましたと言わんばかりにやってきた

目の回る忙しさとはこういうことか


「割り箸追加!」

「はい」


「足りなくなってきた。作って!」

「はい」


気づけば時計の針は頂上をとうに過ぎていた


「お疲れさん」とおばちゃんが缶ビールくれた


あーーうまいな

大量の汗が流れてるから、どんなに飲んでも酔わない気がする



「とりあえず、こっちはもう大丈夫だから。
一息ついたら本部に行って」


「分かりました。では、お疲れ様でした」

本部ってどこだ?


「あ、ちょっと待った!!」

ん?


「手伝いのお礼をあげるわ」

「??はあ」


「琴は、モノをはっきり言うし、真っ直ぐで曲がったことが大嫌いでさ」

………………


「だから、変な小細工なしのがいいと思うよ」

「あの、なんで」


「おばちゃんの噂好きを舐めたらアカンよ」

噂があるのかよ。こえー


「最後にもう一つ」



「ああ見えて、初心(うぶ)だから」


「……貴重な情報ありがとうございます」

「頑張れ!!未来の帝国湯の旦那!」



どうして、みんな

先に先に行こうとするかね?


まだ、付き合ってもいませんよ

っていうか、喧嘩ぽくなったままだし……



どうしたもんかね




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