帝国湯へ、いらっしゃい
――
着いた
でも正面に暖簾がかかってない
時刻は14時。まだ営業時間じゃない
『本日はラベンダー湯』と書かれている看板を
横目に、正面の脇にある道に入る
建物の構造的にここが裏のはず
進んでみたら左側からモワッと暖かい空気が
いや、熱い空気が流れてきた
覗いてみたら釜が見えた
周りには燃やすと思われる木片の数々
へえ。ここで風呂を炊くのか
「琴ちゃん」
声をかけたら俺がいることが意外だったのかビックリしてる
「入っていい?」
「うん」
室内はものすごく熱い
サウナみたいだ
琴ちゃんは何も話さずに
ひたすら釜に木片を入れている
さて、どう崩そうかね
“曲がったことが嫌い”という、焼きそばのおばちゃんのアドバイスを試すか
「琴ちゃんは俺が嫌い?」
「嫌いじゃない」
「じゃ、好き?」
「分かんない」
ふむ