帝国湯へ、いらっしゃい
庭に行った
男湯とほとんど変わらない
変わらないんだか…
「何か違うな」
何が違うんだ?
「うーん」
「何を唸ってるのさ」
「何か違うんだよな」
「あーそれは…」
ちょっ
慌てて琴ちゃんの口を手でふさいだ
「言うなっ」
「んんー」
「ぷはっ。何すんの」
ん?
あ、そうか。誰もいないんだから
「ちょっと男湯いこ」
男湯の庭をジーッと見る
また、女湯の庭に戻ってジーッと見る
間違い探しだ
「うーん…」
「ヒントいる?」
「いや、自力で頑張る」
うーん…
「あ」
「柵だ」
「当たり」
女湯の庭には柵がある
「なんでなんだ?」
「小さい子供は母親と一緒に入ることが多いから
転落防止なんだよ」
ほーなるほど
「ま、あたしは腰掛けちゃうけど」と言って腰掛けた
だから俺も隣に腰掛けた
後ろには庭
前には脱衣場
その先には鯉の絵
「何を見てるの?」
「この景色は二度と見れないかと思って」
「?なんで??」
「女湯だし。入れないだろ」
するとクスッと笑って
「また、0時過ぎに来ればいいじゃない」
…………
「いいの?」
「いいよ」
「二人きりだぞ?」