帝国湯へ、いらっしゃい
初心の取扱い
***
「風がねえな」
「さすがに暑いな。サウナのがマシだ」
いや、サウナのが暑いよ
「ほれ、龍ちゃんの番だぞ」
パチンと駒を進めた
「そうだ。タケから聞いたぞ?」
「ん?」
あれ?こっちから攻めた方がいいのか
「琴とうまくいってるみたいだな」
「んー」
でも、そしたらここが弱くなるよなあ
「龍ちゃん!話をちゃんと聞けよ」
「ちょっと待って。将棋中に聞かないで」
えーと、だからここが弱くなるんだから、
こっちから攻めて…
「ったく!!おい、タケ早く勝てよ」
「しょうがねえな」
パチン
「はい。詰んだ」
「ええーうっそー」
ゴンちゃんが急かしただけで一瞬で勝負が終わってしまった
「はい。将棋終わりー龍ちゃん早く話を聞かせろ」
タケさん、強すぎだよ
「龍ちゃん早く話せってば」
「え?あ、琴の話?」
「「琴、だって」」
……話す気なくなるわあ
「デートは?したんだろ?手を握ってたんだよな?」
「あー、うん」
「何回デートしたんだ?」
「5回くらいはしたかな」
もう、ゴンちゃんの尋問に逆らう気になれない
「もう、腹に子供はいるのか?」
ブッ!と牛乳を吹いた
「話が飛びすぎ」