お姫様と若頭様。2nd


どこを何時間…いや、何日何ヶ月
彷徨ったかなんてわからないほど、
この空間は深い闇に包まれていた。



俺が愛したあの温もりも、光も、笑顔も
なにもないただ真っ暗な世界。



俺がここでまだ彷徨っていられるのは、
彼女に会いたいという
強い想いがあるからだ。


もし俺の中に彼女という存在がなければ
俺はもう既に死んでいただろう。





きっと、彼女は今凄く苦しんでいる。



誰よりも責任感が強くて
寂しがりやな彼女は、

ひとりで俺が撃たれたことと
俺のいない空間を、自分を責めることで
償おうとしている。


彼女には何も
責任なんてないというのに。


でも彼女の育って来た環境からか、
誰かが彼女を救わない限り
彼女はそこから抜け出せないと思う。


1人で抱えることばかり考えてる彼女に
仲間という存在を教えてやりたい。




そのためにはここから抜け出さなくてはいけないというのに…。



どうしても、
この闇は深く抜け出せなかった。


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