お姫様と若頭様。2nd
【楪side】
泣いたら彼に悪いと思うのに、
なぜか涙は止まってくれなかった。
走れば気を紛らわせるし、
涙なんか吹き飛ぶと思ったのに…。
会うべきじゃなかったと、
今更ながら後悔した。
ただ、彼が生きていることを知って
ひどく安心したのも確かで。
この涙はきっと
彼に触れられない悔しさと悲しみと、
彼が無事だったという安心だ。
たとえもう二度と、
会うことがないとしてもーー。