お姫様と若頭様。2nd

「なっ…!」


馬鹿馬鹿しい!

彼はまだ生きてるのよ!
何生まれ変わりって!!

大体年齢的に無理じゃないのよ。


ホントに…言い出した人頭悪過ぎ。





「そいつの闘い方が
あいつに似てるんだとよ。


圧倒的力。

尚且つ立ち姿が似てるらしい」


そんな赤司の声も耳に入らない程
私の頭は混乱していた。




彼と似てる…?


まさか、そんな…。





だって彼は病室で…っ。





その時、病室で見た光景を思い出す。




ー呼びかけたら反応した、彼のことを。






でも彼はずっと寝たきりだったのだ。


あれから起きたとして、
すぐに動けるはずはない。


…いや、でも私、
ここに来てから何日経った?

相当な時間が経ったように思うけど。



でもまさか、そんな…。




「…赤司はその人見たの?」


「いーや、噂だけ。

実際のところ俺たちはまだ紅蓮や彩狼との抗争の収集に追われてる。

こっちとしては
かなりの痛手だったからな。


そんな俺らがまたあいつらと戦うなんて
そんな余力ねぇよ。噂だ、噂」


そう言う赤司もこんな適当なやつだけど
ちゃんと総長やってんのか。

族と組と大忙しの赤司。


普段はどうあれこれでもこいつは
トップを張る男だ。

上を目指さないわけがない。



…いつかまた。

そう思うのが普通なのだ。



きっと赤司は紅蓮や彩狼にいつか仕掛ける気なのだろう。



じゃあその時私は?


紅蓮に戻って彩狼や紅蓮と共に戦う?






それとも、
赤司と共に紅蓮や彩狼を潰す?





そんな未来の話なんて、
明日もわからない私には到底想像できるものではなかった。





ただわかるのは、私は皆を傷付けることは出来ないということ。




それだけは、
私の中で出た、確かな答えだった。




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