お姫様と若頭様。2nd
廊下をズンズン進んで行く赤司。
そして頭を下げながらも訝しげに
私を見る赤司の下に付く者達。
私なんて彼らからしたらきっと小娘で、
なんで組長と一緒にいるんだとか、
勝手にここに入って来てんだとか、
言いたいことは山ほどあるだろう。
それでも彼らが言わないのは、
赤司がいるから。
ここだけには限らない話だが、
上-top-の言うことはこの世界では絶対。
上がYesと言えば、下はどんなことも
Yesと思わなければならない。
それに従わなければ、
死よりも恐ろしい罰を与える。
それがここでの掟-rule-だ。
私だってこれでも峯ヶ濱の次期後継者。
…そして、紅蓮総長だ。
この世界のことは
嫌でも知っていかなくてはならない。
私の周りには凱瑠や聡さんみたいに
この道に進まなかった人も多くいる。
だけど私はやはり峯ヶ濱で、この世界の
トップに立ち続けなければいけない。
それは私が凄いっていう
過信なんかじゃなくて、
峯ヶ濱がそれほど大きいということ。
それほど、私の背負う物が
大きいのだということなのだ。
今はまだ、こんな私だけど。
…正直、誰かの上に立つことなんて
向いてない私だけど、
いつか紅蓮の仲間が言ってくれた、
「総長は俺らの最高の誇りだ」
その言葉がいつだって
私を突き動かしてくれる。
私の存在を、認めてくれている。