お姫様と若頭様。2nd
"ボス"
それは私たち財閥の間で呼ばれる峯ヶ濱財閥の別名。
赤司組は峯ヶ濱財閥に直接ではないけれど繋がっている。
勿論、世間に知られるわけもなく。
これは私と会長、会長の第一秘書しか知らない峯ヶ濱の裏の顔。
「……帰って来い…ってことね」
帰って来いと言うより、仕事をしろ。
お父様は私がどこにいようと興味も関心もない。私が使えるか、使えないか。
仕事が出来るか、出来ないか。
…私なんてただ、
本当にそれだけの価値しかない。
「…ボスはお前の身と引き換えに、
……組の支援を申し出た」
…私を引き渡せば組の支援を、
引き渡さなければその時は…潰す。
血も涙もないなんてよく言ったものだ。
あの人に人の血が通っているなんて、
到底理解出来ない。
私のことを人とも思わず、
財閥のために働く人形のように扱う人。
仕事人間なんて聞こえはいいけど、
あの人は仕事が好きなんじゃない。
ただ、囚われているだけ。