お姫様と若頭様。2nd
ー数日後ー
赤司に連れられ戻って来た家。
その門は今までの、
どの時よりも大きく見える。
ズンとした重たい空気。
それは私の気持ちから来るのか。
はたまた、
黙ったままでいる赤司から感じるのか。
それは定かではないが、私がここに戻って来たくなかったことだけは確実だ。
きっと怒っているであろう両親。
心配をかけてしまった凱瑠や聡さん。
それに、アラレちゃん。
突然いなくなって呆れたであろう
紅蓮の皆。
きっと沢山の人が私を責めるだろう。
…戻ることはわかっていたはずなのに。
それなのにこんなにも体が重いのは、
意外にも赤司の側が心地よかったからか
戻らないという希望を抱いていたからか
彼に会って私が変わってしまったからか
彼が死んでいないと知ったからか。
結局確かなことはわからないが、どれも私の心にある事実。
今まで峯ヶ濱に逆らうことなく生きてきた私にとってあり得ないこの状況。
彼に会ったことで変えられた"私の運命"
彼と混じり合う未来が私にないのなら、
なぜ神様は私たちにこれ以上の障害を与えるのか?
"忘れてしまえばよかった過去"
"知らなければよかった未来"
私はこの二つをどれほど抱えているのだろうか?
自分を哀れに思うんじゃない。
ただなぜか、この場所に来ると自分が惨めに思えて仕方ないだけ。
こんなにも小さな人間だったのかと思い知らされるだけ。
"必要とされない私"と"必要とされる私"
その二つの違いはきっと、
峯ヶ濱の人形であるか否か。
じゃあ、今の私はどちらに属するの?