お姫様と若頭様。2nd
私が彼に振り返ると彼も私を見ていて、
私に戻るように合図をした。
私もそれに従い、開けられた門から中へと入る。
その時のお母様の視線と言ったら決していいものとは言い難かった。
私はどうも私の憎み軽蔑するあの凍てつくような視線が昔から変わらず苦手だ。
あの人が私を私として見ていないのは私が生まれる前の、私がその身に宿ったあの瞬間から始まっていたことだろう。
私以外にはなんでも許し、自分に甘い。
私に対しては後継者という言葉を使い、
なんでも我慢をしいらせた。
私の母はずっとそういう人。
私を育てたのだって正直あの母とは言えないかもしれない。
なぜなら、私の母は自分ばかり見ていて私を育児放棄に近い形にしたのだから。
私はお手伝いさんのような人達に育てられたと言っても過言ではない。
親の愛を知らないのは事実なのだから。