お姫様と若頭様。2nd

【陣宮side】


生徒会長が学校へ現れなくなってから随分経ち、その代わり誰も知らない彼女が戻って来た。



以前と変わった部分なんて端から見ればわからないだろう。


だけど確かに感じた、
以前とは違う雰囲気。


纏う空気も、表情も、立ち振る舞いも、
全てが以前の彼女とは違って見えた。

彼女がいなくなってすぐ告げられた
生徒会長の選定。

理事長をどれほど問いただしても知ることのできない、彼女が消えた真実。




それとは別に、
突然消えた紅蓮史上最強の総長。


そのことに彩狼は酷く困惑した。

一時期は誰かに殺られたのではという噂も広まった。


だけどあの人がそう簡単に殺られることはないのが事実で。

引退したという噂が今では一番有力な情報だった。

また紅蓮総長不在により、紅蓮は危機に
見舞われた。

あの総長がいないならとここぞとばかりに攻めて行く卑怯な族。

元々紅蓮は個々が強いことや、強い族と同盟を結んでいるため協力し抑えられていたものの、
かなり厳しい状況だった。








そんな中流れたある噂。



"紅蓮に途轍もなく強い新人が現れた"

"前総長の生まれ変わり"


正直馬鹿な噂だと思った。

あの総長の生まれ変わり?
時期的におかしいし、
そもそも死んで無いだろ。



だけどそいつが紅蓮のピンチを救ったのも確かだった。




生徒会長や紅蓮総長の謎の失踪。


どうしても出てこない真実は、
これが初めてだった。


どんなに会いたいと望んでも、きっと俺の前に現れることはないのだと思う、弱気な自分がいた。


だから彼女が…生徒会長が再び現れた日
本当は信じられなかった。










…彼女を見るまで、
俺は多分浮かれていたんだ。


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