お姫様と若頭様。2nd




「泪、今日は顔を出すのか?」



彼女がいなくなってからずっと聴いていたこのセリフ。

それは毎回嵐のものだった。


以前彼女がいなくなってすぐ理事長を問いただした時、言われた言葉。




"あいつを救ってやってくれ"




救ってやれるわけじゃないけど、
時間を見つけては彼女を探しに行った。


峯ヶ濱の名を持つ彼女がどんな苦労をして来たかなんて俺にはわからない。

あの大財閥をまとめ上げるのがどれほど
難しいかなんて。



誰かに連れ去られたのか、
それとも彼女が自ら行ったのか。



彼女が今何を思い何をしてるのか、
そしてどんな闇を抱えているのか。


それを知らなければ彼女を救うことはできないとわかっているから。


俺はひたすら彼女を探していた。




だけど今は彼女が失踪する以前より、
格段に距離が広がっている気がした。



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