お姫様と若頭様。2nd
彼の後ろを見るけれど誰も着いてきた様子はない…。
彼は一人で来てしまったのだろうか?
身の危険も顧みず、たった一人で?
彼は以前から、よくムチャをする性格だった。
…それも、全て仲間のために。
だからこそ私はそんな彼を心配もしたし尊敬もした。
彼の背中は誰より大きく、私なんかじゃ手が届かないほど高い所に彼はいた。
彼ほど人を引っ張ることに長けた、総長に向いた人はいないと思う。
彼の持つカリスマ性
誰もが彼のそれに魅了され、彼について行った。
そして、そんな彼だからこそ起こってしまったあの事件。
私を守るために、犠牲になった彼。
…そして、逃げた私。
あの後、彼に謝ることも彼を支えることもせず現実から、彼から目を背けた。
赤司に彼の居場所を教えて貰った時だって合わせる顔がないと逃げた。
なのになぜ、彼は私を見つけ助けてくれるというの?
いつもそうだった。
私が彼に因縁を付けた奴らに攫われた時だって、普通は皆で乗り込んでくるはずなのに彼が誰より早く来て、私を救ってくれた。
影にいる私を見つけてくれる彼は私にとっての光で。
だからこそ、
私は彼を全身全霊で愛していた。