お姫様と若頭様。2nd
彼は私の睨みに怯むことはなかったが、
私の変化に僅かに瞳が揺れた。
黙ったまま私を見ていた彼は、一見何かを思案しているようだった。
そして何か迷うように、
「ユズ…大丈夫か?」
それは、何に対しての大丈夫?
彼の瞳が揺れているのは僅か。
だけど一緒にいた私にはわかった。
ひたすら彼のことだけを見ていたから。
想い合っていたと実感できたあの時、
私の瞳には彼しか映らなかったから。
「私はあなたに心配してもらう資格なんてない…。だから、もうこうして助けに来たりしないで…」
心優しいあなたを
峯ヶ濱から
…そして私から守ることが、私ができる唯一の恩返し。