お姫様と若頭様。2nd


その言葉に、彼の強い瞳に、
目が離せなくなってしまった。



大好きだった…
いや、大好きな彼の強い瞳。

彼の意志や決意の強さ、純粋さを全て閉じ込めたようなそんな瞳。




彼の優しさに強さに触れ思わず逃げ出したくなるのにどうしても目が離せない。



だけど彼の名前を呼ぶことはできない。

彼の名を穢したくない。

















「…なぁ…楪……」








…やめて。




そんな切なそうな、
愛おしそうな声で呼ばないで。







勘違いしてしまうから。








生きていると知っただけで、
満足だったはずなのに…。


自分がこんなにも良く深い人間だったことを思い知る。




呼ぶな呼ぶなと叫ぶ頭
もっと呼んで欲しいと願う心





私だって…今思い返してみれば苦しいことばかりじゃなかった。


…だけどどうしても思ってしまう。




"なぜ私だけ酷く汚れているのだろう"




彼と自分をこんなにも比べてしまう。







白い光を放つ太陽のような"あなた"


黒い闇を纏う暗闇のような"わたし"






それがなんだか、
余計に私を苦しくさせる。


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