お姫様と若頭様。2nd
たとえこんな場所にいようと
彼は彼だから…。
「生きて…る……」
きっと神様が気まぐれで助けてくれた。
神様じゃなくてもいい。
ただの気まぐれでもいい。
…助けてくれて、ありがとう。
「うぅ…っ…ョルぅっ…ック……」
いつの間にか赤司はいなくなっていて、
きっと気を利かせてくれたのだろう。
その時、
ーピクッ
「えっ…?」
彼の手がほんの少し動いた気がした。
ーピクッ
今度は瞼が震えた。
「ョ、ヨル…私…だよ、楪だよ?」
声を掛けた方がいいと思って
彼の名前、私の名前を言った。
「あっ……」
でもその時、あの時の光景や、
私が今までして来たことが蘇って…。
突然、彼に会うのが怖くなった。
こんな私を
彼は受け入れてくれないんじゃないか。
汚ないと思われるんじゃないか。
…そんなことが頭の中を過ると、
思うより先に足が動いていた。