空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~

「あの、簡単な理由って言うわりに、ひとつも理解できないんだけど?」


「佳那は、自分で気付かなきゃならない」


「気付く? なにに?」


「言ったろ? それは自分で気付かなきゃ意味がないんだ」


禅問答、継続中・・・・・・。


意味が分からん。


限界だの、変われだの、気付けだのと。なんじゃそりゃ?


「それって、あたしの中庭での時間を邪魔することと、関係があるの?」

「ある」

「なんの関係?」

「佳那」


祐輔は真っ直ぐにあたしを見た。


そして、真っ直ぐな目で言った。


「永遠なんて、無いんだよ」


「・・・・・・!」


祐輔の言葉が、嫌な音をたてながら心臓に突き刺さった。


胸の中を、不安という名の不快な痛みが走る。


・・・永遠なんて、無い? それどういう、意味?


「・・・・・・あぁ、ちょっと違うな」


言葉を失ったあたしを見ながら、祐輔が軽く髪をかき上げた。


「正確には、佳那が信じる形での永遠は、無い」


「なに・・・それ・・・・・・」


「佳那、あの中庭は・・・・・・無くなることが決まった」

< 110 / 244 >

この作品をシェア

pagetop