空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~
頭が真っ白になった。
目も口も、ポカンと開けたまま。
あたしは祐輔の腕に、ただ、すがり付いている。
他人のような祐輔の顔は、それでも、とてもキレイだった。
キレイな目をして、そしてそれは。
とても悲しい色をしていた。
「嫌か? 気付いてしまったことが」
悲しい色。切ない声。
あたしを覗き込むように見る、苦しげな表情。
「オレの中のこの気持ちは・・・佳那にとって、許せないものか?」
祐、輔・・・・・・。
・・・なぜなんだろう?
こんなに苦しそうなのに。
なぜ、どうして祐輔は。
こんなにも優しく、あたしの髪を撫でるんだろう。
まるで傷を癒そうとするように、温かな手で・・・・・・。
そしてあたしは、なぜ。
なんの言葉も出てこない?
この胸にこみ上げる、感情はなに・・・?
なぜか、こうしていては、いけない気がして。
あたしは祐輔の腕から、そっと指を外した。
そして一歩、後ろへ後ずさる。
混乱するあたしの目を見て、祐輔の表情が揺れた。
苦しそうなままの、無理な微笑み。
温かな手をあたしの髪からそっと離して、立ち上がった。
そして・・・・・・
何も言わずに、教室から出ていってしまった。
振り返りもせずに・・・・・・。