空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~

あたしを守ることを選んでくれた。


祐輔への感謝と、悲しい気持ちが同時に込み上げて、心が熱くなる。



祐輔はやっぱり優しい。


あたしを傷つけると言いながら、どこまでもあたしを守ろうとする。


「ありがとう・・・・・・祐輔」


だけど・・・・・・。




涙が次々とこぼれ落ちてくる。


すすり上げ、手で何度も頬をこすりながら、思う。


だけど、あたしはそれを受け入れられないよ。


「ごめん、祐輔」



大樹は、突然に逝ってしまったんだ。


そんな死を彼が望んでいたわけがない。


大樹はいつも必死で病気と戦っていた。


生きたかったから。



だからこそ、あたしに永遠の愛を誓ったんだ。


きっと戻ると誓ってくれた。ずっと守り続けると誓ってくれた。


大樹は、本当に本気で、生き続けたかったんだ。



なのに・・・・・・逝った。


生きるために自分で選び、望んだ手術の途中で。


大樹は生きることを許されなかったんだ。

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