空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~
「お前は、まだそんなこと言ってるのか」
涙の向こうに見える祐輔の顔が、固かった。
「それが、大樹を盾にしているって言ってるんだよ」
整った顔が、刺すように真剣な目が、貫く様にあたしを見つめている。
本当に怒っているのかもしれない。
それでもあたしは、怯まずにその顔を正面から見返す。
「指輪、返して」
あたしは涙を拭いて、その手を祐輔に向かって差し出した。
たとえどんなに祐輔に怒られても。
だれになんと言われようとも、あたしの決意は変わらないんだ。
「だから返して。あたしと大樹の永遠を」
祐輔とあたしは、そのまましばらく見つめ合っていた。
お互いに一歩も動かず、視線もそらさず。
無言のまま、自分たちの意思を心に抱きながら。
やがて・・・・・・
やっと、祐輔の腕が動いた。
・・・・・・指輪、返してくれるの?
そう思って、祐輔の手に向けたあたしの手が、ギュッとつかまれた。
「祐輔?」
「佳那」
低い声で祐輔があたしの名前を呼ぶ。
そしてそのまま、あたしの体は壁に強く押し付けられてしまった。