空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~
心の中で、そう何度も自分に言い聞かせた。
泣きながら、ひたすら廊下を走り抜ける。
「佳那!?」
向こうから、走ってくる人影が見えた。
「ちょっと佳那、どうしたの!?」
「・・・・・・由依!」
あたしは由依の胸に飛び込んだ。
そしてわぁわぁ大声で泣いた。
由依はあたしを抱きしめ、オロオロしている。
「心配だったから、様子を見に行くところだったんだよ!」
「由依! 由依! あたし・・・!」
「どうしたの!? なにがあった!?」
「祐輔に、指輪を取られた! それに・・・・・・」
「それに、どうしたの!?」
「祐輔に、キスされた!」
「・・・・・・・・・・・・!」
由依の、あたしを抱く手がキュッと強まった。
あたし、他に何を、どう説明すればいいのか分からない。
キスをして、あたしに気付かせようとした祐輔が、恨めしかったから。
大樹以外の人間に、唇を許した自分が憎らしかったから。
だから、祐輔と自分を責めるような、そんな言葉を吐き出した。
「キスされてしまったの! 祐輔に、キスされた!」