空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~
祐輔が慌てて由依の後を追っていった。
由依の泣き叫ぶ声と、祐輔の足音が遠ざかる。
その声を聞きながら、あたしは呆然と立ちすくんでいた。
学級旗に、濁った水が染み込んでいく。
じわじわと喰われるように、絵は汚れていった。
まるで誰かに、傷つけられるように。
「どう・・・しよう・・・」
汚染された絵を見て、あたしはポツリとつぶやいた。
絵は、汚れてしまった。
もう取り返しがつかない。
「どう・・・しよう」
あたしはペタンと座り込む。
「どうしよう・・・どうしよう・・・」
そして同じ言葉を、無意識に繰り返した。
由依は・・・・・・
ずっと祐輔のことが好きだった。
そして、あたしは・・・・・・
その由依相手に、なにを言った?
祐輔に告白された、と。
祐輔に見つめられている、と。
祐輔の気持ちに感謝している、と。
祐輔にキスされた、と。