空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~
このトイレは、うちの学校伝統の女子トイレ。
つるし上げ専用の、お仕置き部屋として有名だ。
ここに連れ込まれた女子は、徹底的にイビられる。
女の集団はエスカレートしやすいから、ターゲットになった子は、たいてい大変な目にあった。
立ち直るのに時間がかかって、何日も学校を休んだ子もいるらしい。
そんな最終処刑場。
・・・それも、あたしにふさわしいかもしれない。
由依だって、学校に来られなくて休んでいるんだもん。
あたしだって、そんな目にあうべきなんじゃないかな。
そんな風に考えながら、あたしはグループに取り囲まれていた。
「奥村さん。例のウワサって本当?」
エカテリーナ大森が、真っ先にそう聞いてきた。
みんな、ひどく険悪な表情であたしを見ている。
突き刺さる視線を全身に受け、あたしは沈黙した。
「黙ってるってことは、本当なんだ?」
腕組みしながら、エカテリーナが上から目線で断言する。
そして、吐き出すように言った。
「あんたって、最低だね」
その言葉に、全員が同意してうなづいた。