空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~

自分で自分が嫌になる。


ほら、今もこうして、何も言えないでいる。


由依を前にして、うつむきながら、モジモジと指を動かすだけだ。


ほんとに・・・もう・・・・・・。



「佳那、ごめんね」


いきなり由依があたしに謝ってきた。


ビックリして指の動きを止め、顔を上げる。


由依は、悲しそうな顔であたしを見上げていた。



あたしはわけが分からず混乱してしまう。


な、なんで由依があたしに謝るの?



「謝らなきゃならないのは、あたしの方だよ?」


「? なんで佳那が、あたしに謝るの?」


「え? だ、だって・・・」



不思議そうに由依に聞かれて、ますます混乱した。


なんでって、だってそれは当然でしょ?



「あたし、祐輔のこと、色々と由依に・・・」


「佳那は悪くないでしょ? だって佳那は知らなかったんだから」


「それは知らなかったけど、でも・・・」


「あたし、佳那に話さなかったもん。聞いてなきゃ、知りようがないじゃない」



あたしは面食らってしまった。


そ、それは確かに、理屈ではあるけど。


いやでも、だからって・・・・・・。

< 187 / 244 >

この作品をシェア

pagetop