空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~
そして、どれほど幸せそうな顔をしていても。
なぜか佳那は、あたしにはとても悲しそうに見えた。
儚いものを、必死になって守ろうとしている。
そんな透き通るような、悲しげな空気が・・・
見ていて、あたしの胸を締めつけた。
だから。
手を・・・・・・
手を、ね。
差し伸べたいって、思った。
見えない『何か』を、懸命に守ろうとしている佳那。
ひとりぼっちで、皆に背中を向けながら。
たったひとつのものを、一途に。
・・・・・・ここに、いるよって。
あたしの手を、見せたかった。
別にね、この手をとってもらわなくても、よかったの。
ただ、ここにあることを、知って欲しいと思った。
いつも佳那は、背中を向けてばかりだけれどさ。
ふと、寂しくなった時に。
誰かに頼りたくなって、こっちを振り向いた時には・・・
ほら、ここに。
ここに、ちゃーんとあたしの手が、あるからねって。
だから、安心していいんだよって。