空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~

そして、どれほど幸せそうな顔をしていても。


なぜか佳那は、あたしにはとても悲しそうに見えた。


儚いものを、必死になって守ろうとしている。



そんな透き通るような、悲しげな空気が・・・


見ていて、あたしの胸を締めつけた。



だから。


手を・・・・・・


手を、ね。


差し伸べたいって、思った。



見えない『何か』を、懸命に守ろうとしている佳那。


ひとりぼっちで、皆に背中を向けながら。


たったひとつのものを、一途に。



・・・・・・ここに、いるよって。


あたしの手を、見せたかった。



別にね、この手をとってもらわなくても、よかったの。


ただ、ここにあることを、知って欲しいと思った。



いつも佳那は、背中を向けてばかりだけれどさ。


ふと、寂しくなった時に。


誰かに頼りたくなって、こっちを振り向いた時には・・・



ほら、ここに。



ここに、ちゃーんとあたしの手が、あるからねって。


だから、安心していいんだよって。

< 191 / 244 >

この作品をシェア

pagetop