空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~

あたしはもう、さっきからグジュグジュだった。


目の下と、鼻の下を、何度もこすりながら泣きっぱなし。


あたしは、今まで由依のことを、見ようともしていなかった。


由依の気持ちに、気付こうともしていなかった。


なのにこんなあたしを、由依は・・・。



「あたし、佳那のことが好きだよ」



ウエストのズリ下がったパジャマ。


ボサボサの髪。


熱で真っ赤な、汗だらけの顔。



・・・・・・さんざんだ。


さんざんで、最悪で、悲惨だよ。


こんな悲惨な姿で、夢中で駆けつけてくれた由依を・・・


差し伸べてくれる、この手を・・・・・・



どうして、取らずにいられるだろう!



「由依!」

あたしは、由依の手をしっかりと握った。


「あたしも由依のことが大好きだよ!」



熱のせいで、由依の手はとても熱かった。


熱いその手を、あたしは自分のオデコにギュッと押し当てる。


祈るように。


由依の熱さを、自分の中に取り込むように。

< 195 / 244 >

この作品をシェア

pagetop