空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~
あー、ヒマ。
ヒマヒマ。
ヒマヒマヒマぁ!
新品のパリッとした制服。
体育館の周囲をぐるりと囲む、紅白の垂れ幕。
檀上の松の盆栽の、見事な枝振り。
そんなもんを眺めて暇つぶしすんのも、もー限界。
いったいどんだけ続くの!? この怒涛の『偉い人のオハナシ』タイム!
結局みんな、似たような話しかしてないしさ。
一回聞けば充分なんですけど。
ヒマを持て余しながら、あたしはまた自分の制服姿を見おろした。
セーラーの襟が真っ白なのが、清楚な感じがしてポイント高い。
プリーツスカートは淡いピンクのラインが入ったチェック柄で、リボンとおそろい。
やっぱりこの制服、すごい可愛い!
『その制服着てれば、落ち着きのない佳那(かな)でも、お上品っぽく見えるよ」
って友だちも褒めてくれたし。
・・・あれ? それって褒め言葉じゃないっけ? ま、いいか。
ちょっと機嫌が回復したあたしは、コッソリ周囲に視線を走らせた。
これから同じ中学校で過ごすことになる、仲間達の顔をチラ見する。
基本的に同じ小学校の卒業生たちは、みんなこの中学に入学してるから気が楽。
それでもやっぱり知らない顔も多いなぁ。
ほら例えば、この隣に座ってる小柄な男子とか・・・