空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~
「大樹はいつもクラスを応援してるじゃん。みんな大樹から力をもらってるんだよ?」
それは嘘じゃなくて本当の事。
一番大変な大樹が、一番一生懸命に毎日を過ごしているのはみんなに伝わっていた。
それがみんなの大きな励みになっているんだもの。
「ありがとう佳那。でも・・・・・・」
具合の悪そうな青い顔が歪んだ。
いつもクルクルと良く動く、表情豊かな大樹の目が悲しそうに沈んでいる。
・・・・・・うん。分かるよ、大樹の気持ち。
大樹だって校庭を全力で走ってみたいんだよね?
体育館の木の床を踏みしめて、思い切りジャンプしてみたいんだよね?
肩をつかみ合ってムカデリレーしたり。
リレー競技でバトンを繋いだり。
クラス展示の為に、夜遅くまでクラスのみんなと居残りしたりしたいんだよね?
でも・・・・・・
なにひとつ、大樹にはそれが許されない。
保健室のベッドに横たわりながら、大樹は苦しそうに息を吐く。
目の下が薄っすらと黒ずんでいるその様子を、あたしはたまらない気持ちで見つめた。