空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~
由依が一緒にいる時、祐輔に話しかけられるのは・・・
正直、ちょっと困る。
どんな顔をすればいいのか分からない。
あの激しいキスを思い出して、胸がドキドキしてしまうし。
どうしても意識してしまうんだ。
今までと変わらない目では、祐輔を見られなくなってしまった。
そのことに、とまどっている。
祐輔を見て胸がドキっとするたび、心に浮かぶ感情があたしを責める。
『これは、大樹への裏切りだ』って。
それだけはどうしても、心から拭い去れない。
祐輔の気持ち、自分の気持ち、大樹の気持ち。
どう受け止めるべきなのか、分からない。
そんな複雑な心境を内に隠して、あたしはさり気なさを装った。
「なにか用? 祐輔」
「明日のこと、覚えてるか?」
「・・・・・・うん」
「そうか。じゃあ、いつもの場所で待ってるぞ」
それだけ言って、笑顔で祐輔は離れていった。
こっちに背中を向けて、軽く手をあげてヒラヒラさせながら。
それを見送りながら、由依が聞いてくる。
「明日? なにかあるの?」
「うん・・・・・・大樹の、命日なんだ」