空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~
由依が振り返った。
その何とも言えない複雑そうな表情に、あたしは軽く笑いながら言葉を続ける。
「祐輔とさ、去年も一昨年もお墓参りに行ったんだ」
「そっか。じゃあ・・・」
「うん。もちろん今年も行くつもりだよ」
祐輔とふたりきりになるのは、ちょっと気が重いんだけど。
これに関しては話は別。
これだけは、ふたり一緒に行きたい。
大樹にふたり揃った姿を見せて安心させたいし。
それに何より、あの墓石の前に立つのは・・・
辛いんだ。どうしても。
一人で向かい合うのは、辛い。
でも明日、あたしはどんな気持ちであの場所へ立つんだろう。
去年までとは違ってしまった祐輔のとなりで。
なんだか不安だな・・・・・・。
暗い表情でうつむいてしまったあたしを、由依が心配そうに見ている。
あたしは顔を上げ、笑顔を見せた。
「大丈夫だよ。由依」
「佳那、ごめんね。一緒に行ってあげればいいのかもしれないけど」
「うん、分かってる」
あの場所には、あたしと祐輔が行くべきだ。
由依を保護者として連れて行くのは、それは違う。
だから大丈夫だよ。