空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~
そして約束通り、次の日。
大樹の命日にあたしはひとり霊園へと向かった。
バスに揺られながら、普段はほとんど通らない道を窓の外からぼんやり眺める。
そして目的のバス停に到着。
バスから降りて、エンジン音を聞きながら霊園の入口へと向かった。
入ってすぐのお店で、お花を買う。
花桶の取っ手を握りしめ、整列するようにズラリと並んだお墓の間の道を、あたしは進んでいった。
来るたびに思う。
ここにはいつも静寂で、物寂しい、独特な空気が漂っている。
ここは、全ての人にとって特別な空間。
行き交う人の心の中は、皆、同じ。
かつての人の面影を、追い求める場所。
かつての温もりを、匂いを、存在を、感じたいと願う場所。
そして・・・・・・
その人が逝ってしまったことを、思い知る場所。
ここは、そんな場所だ。
土を踏みしめ、悲しい石碑の合間を通り抜け、あたしは進む。
目的の場所へ。
もうすぐ着くよ、大樹。
もうすぐ、ほら、もうすぐ・・・・・・
あれ?
ふと、気が付いた。
大樹のお墓の前に誰かが立ってる。
だれだろ? 祐輔じゃない。
あたしの足が、止まった。
あの人・・・・・・
大樹の、お母さん・・・・・・?