空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~
お母さんと向かい合い、ペコリと頭を下げた。
なんて言えばいいのか分からず、とりあえず「初めまして」とご挨拶。
お母さんは優しい笑顔でニコニコしてる。
「初めまして。大樹の母です」
「・・・奥村佳那です」
「まぁ、お花もお供えしてくれるの? ありがとう」
あたしは緊張しながら、持っていた花を墓前に供える。
そしてやっぱり緊張したまま、手を合わせた。
でもお墓よりも、お母さんの方に気が向いてしまって仕方がない。
祐輔、早く来てくれないかな?
どうにもこうにも落ち着かないよぉ。
手を合わせ終わったあたしに、お母さんが待ち構えたように話しかけてくる。
「奥村さん、どうもありがとう」
「あ、い、いえ・・・」
「ねぇ奥村さん、良かったらあちらで少し、おしゃべりしない?」
「・・・・・・え゛?」
「大樹のお友だちと、一度お話ししてみたかったの。せっかくだもの、女同士で仲良く。ね? いいでしょう?」
いえ良くないです。
とは、言えない! 言えるはずがない!
あたしはギクシャクと、うなづいた。
「嬉しいわ。さ、じゃあ行きましょうか」
「は、はい・・・」
あたしは誘われるまま、お母さんの後について歩き出した。
祐輔ぇぇ。早く来てぇぇ!