空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~
想いの通じ合った日

あたしと大樹の絆は、そうして日々、深まっていく。


静かに季節は移り、春が終わって、夏の強い陽射しが徐々に和らいでいった。


木々が茜色に染まる秋を迎えた、そんなある日。


「佳那ーーーーー!」


「わ、ビックリした。どうしたの大樹?」


朝、教室に入った途端に大樹が全力で抱き付いてきた。


ちょ、ちょっとちょっと大樹ってば、みんなが見てるよぉ。


あたしは大樹の体を受け止めながら、思わず顔を赤らめる。


でも大樹はまったくお構いなしで、目をキラキラ輝かせて叫んだ。


「今度のバス遠足、参加してもいいって言われたんだ!」


「・・・ウソ!? ほんとに!?」


「ホントホント! 初めてだよ! 快挙だよー!」


「きゃーーー! おめでとう大樹!」


あたしは恥ずかしさも忘れて、大樹と抱き合いピョンピョン飛び跳ねる。


そしてそのまま手を取り合ってダンスまで踊ってしまった。


大樹が生まれて初めてバス遠足に参加できるんだ!


それって嬉しすぎる!


クラスのみんなが、「おめでとう」「良かったね、大樹」と次々と声をかけて祝ってくれる。


最高! 最高! んもうホントに最っ高ー!


祝福の声に包まれながら、あたし達は笑顔で見つめ合いながら踊り続けた。

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